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今話題のNetFlixドラマ『愛の不時着』(原題:사랑의 불시착 英題:Crash Landing on You)が面白かった

愛の不時着』全16話。いっきに見ました。

どういうお話かというと、北朝鮮に不時着したお金持ちセレブの南朝鮮女性が、当地の顔天才(イケメンの意味)の軍人と恋に落ちる、というアドベンチャーラブストーリーです。NetFlixってこのドラマのために創業したんじゃないかって思ったくらい、北朝鮮が大胆に起用されています。政治も国連もアメリカも北朝鮮をどうにもできないのなら、ドラマにしちゃえ!! という意気込みを感じました。

特徴は、北朝鮮の政治体制を、みじんも批判していないことです。

このドラマを見ていると、北でも南でもその他の国でも、不幸なのは体制云々ではなく、未来に絶望しか見えないことだとわかります。そして貧困、孤独、子どもが愛なく育つこと。そして何より飢えること。

それに加えて、「食べ物がないのも一大事だけど電気がないのはとっても不幸だよん」というメッセージも随分感じました。たしかに電気がなくちゃNetFlixのドラマも見せられないので、NetFlix的に思うもっとも差し迫った不幸かもしれません。※

とはいっても、やはり、飢えレベルの貧困が北朝鮮にはあると思います。あそこに描かれている貧困は実際と比べたら生ぬるいと推測します。当方数年前に蓮池薫さんの『拉致と決断』『半島へふたたび』読みましたが、食べ物がある間は北の体制でもまだマシでも、一度飢饉がくると本気で食べ物がなくなり、蓮池さんはまだVIP待遇なので大丈夫だったようですが、一般人はバタバタ飢え死にしてしまうのです。

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とはいっても、基本的にはコメディベースで実際笑いがいくたびもこみ上げるので、エンタメとして楽しむのがいいと思います。

ちょっと不思議に思ったのは、このドラマ、非常に「運命」が強調されていることです。北朝鮮への配慮でしょうか。ちなみに主役の軍人(中隊長)のリ・ジョンヒョクがセリに会うために炭鉱跡の洞穴を12時間から24時間かけて出てくる場面。まさかの匍匐前進で出てきたわけですが、恋すればあれくらいのエネルギーは出るものです。人間のエネルギー配分(を決定する脳のシステム)は社会のありように適応しているため、現在の日本では個人がエネルギーと可能性を発揮しすぎないようにコントロールされてしまっているのです。必要なこととはいえ、適応しすぎも考えものですね。

いろいろな名場面がある中、セリを演じたソン・イェジンの表現力はすばらしいです。エピソード11で、ジョンヒョクを南っぽくするために紳士服店へ連れて行くのですが、ジョンヒョクがカッコイイ(そして資本主義社会的な)スーツを着て試着室から出てきたときの、セリの目がハートになった表情が、それだけで変身スーツ姿を見た気持になったほどです。そのあと、次々に洋服を変え「プラダを着た悪魔」かってくらいになるのですが、わたしの「タイプ」ではないせいか、さほどステキには見えなかったのですが、セリのハートの目を通じるとほんとーにほんとーにステキなんだと暗示にかかりました。

リアルの北朝鮮がこのドラマに怒っているそうです。いったい何を怒る必要があるでしょう? 最高級に強くてかっこよくて魅力的、でありながら純朴な温かさをもつリ・ジョンヒョクさんは、南ではなく北のオトコとして描かれているのです。これ以上何を望むことがあるでしょうか?

 


電気がつかないと子どもが夜に勉強できない、という不幸も。